第155章 阿部蓮太郎に何かあった

横山社長は顔を上げ、目の前にふいに現れた女を見た瞬間、胸の奥で警報が鳴り響いた。

女――横山美雪は有岡里穂を見据え、値踏みするような視線でじっと観察し、比べるように目を細める。

「あなた、誰?」

横山美雪の声は露骨に刺々しい。

阿部蓮太郎とは長い付き合いだ。彼の傍に女の影など、ほとんど見たことがない。ましてや、家の玄関先に女が立っているなど――。

有岡里穂は反射的に答えた。

「かかりつけ医です」

「横山美雪。阿部蓮太郎のビジネスパートナーよ」

名乗り終えると、横山美雪の目がわずかに揺れ、追及するような硬さが少しだけ和らいだ。

「医者なのね。阿部蓮太郎、今夜は少し飲みすぎたみ...

ログインして続きを読む